俳優スクールではどんなことを学ぶの?スクールにより授業内容は違うの?

俳優を目指してスタートラインに立つ者にとって、やはり最も重要なのは基本的な基礎技術の授業だと思います。それを知っている俳優スクールは各校とも、基礎技術を学ばせるために色々な工夫を凝らしてカリキュラムを作成しているようです。切磋琢磨しているのは俳優になりたい人達ばかりではなく、それを迎える各校も同様に切磋琢磨しているのでしょう。その双方が上手にマッチングできた時に、最良の結果が出るのではないかと思っています。

俳優スクールの一般的な授業内容

各俳優スクールにより多少の授業内容の違いはあっても、基本的な基礎レッスンは大体一緒です。何故なら、どのスクールでも俳優に大切な基礎を重要と考えているからで、これがなければ砂の上に城を立てるようなものであり安定がなくアンバランスな状況で、上に他のものを積んで行く事ができないからです。基礎が安定してこそ、どんどんと技術を積み上げて行けるのだと言います。

その基本トレーニングは以下の通りです。

腹式呼吸や姿勢は基本中の基本ですが、その姿勢を正しく保って歩く「ウオーキング」、しなやかな動きで体の表現力の向上を目指す「ダンス」などがあります。更に体の演技表現に欠かせない身体能力を高める「アクション」や、それに加え現場での対応力をつちかう「殺陣」などもあります。現場の対応力とは、どんな現場に呼ばれても「やった事がない」という事のないように、対応できる能力です。時代劇に呼ばれて「殺陣はできない」では折角のチャンスを逃してしまいますからね。

そして「発声」や「滑舌」のレッスンも非常に大切です。発声・滑舌・アクセントは言葉を伝えるツールです。演技者は言葉を伝える能力に長けていなくてはなりません。色々な地方人の役が来るかもしれませんが、基本的に一番喋る標準語のアクセントが、まずはできていないと「どこの生まれ?」と見ている人に不自然さを感じさせてしまいます。

「表現基礎」のトレーニングは即興劇などを通して、その場その場の対応能力に磨きをかけて行きます。そして「映画基礎」では、カメラを意識した動きや映り方、目線演技の実践的なレッスンです。この両方も演技者にとり、チャンスを掴む為には欠かせないトレーニングだと言います。

更に「自己解放」という表現力を開放して適応能力を養うトレーニングや「朗読」「日本舞踊」「所作」「着付け」など様々な基本項目があります。また「ビジュアルメイク」という聞き慣れないレッスンは、筋トレを始めとして肌ケアなど外と内から全身のバランスをとるというものです。

これらを繰り返しトレーニングする事で、確かな基礎を体に浸透させ、自分のものにしてしまう訳です。こうした基礎レッスンは養成所、専門学校問わずに行われ、安定した土台作りをして行きます。

スクールによって学ぶ事が違う?

基本的な基礎トレーニングの本質的な内容は、そんなに違いがある訳ではありませんが、各校で多少取り入れる授業内容には違いがあるでしょう。

例えば、時代劇で有名な撮影所が運営する養成所では、殺陣に力を注ぐので「日舞」「所作」「着付け」「メイク」などを取り入れ、児童の部では「茶道」のレッスンも入っています。ここは、実際に劇場映画やドラマ・CMなどに参加し、実践の現場を知るというトレーニング法を取り入れて「現場に参加しながら学ぶ」を体感で感じ取らせているようです。この養成所ならではのトレーニング法と言えましょう。因みに参加者には出演料が支払われます。

また、他の専門学校にある「映像俳優コース」では、照明・音響といった機材に実際に触れ、設備について学んだり、カット割りやカメラアングルを意識しながらカメラに映った自分を確認するというような、より実践的な授業を行っています。他に「アニメアフレコ」「洋画アフレコ」などもあります。

同校の「舞台俳優コース」でも、多くの授業から自分で選択して受講する事ができるユニークな仕組みがあります。その中には「2,5次元ワークショップ」や「声優オーディション対策」など他にない独自の授業も目につきます。

更に、どのスクールも講師には現役で活躍しているプロを置き、実際に役立つレッスンという点に力を注いでいるようです。ある養成所では「毎回のレッスンがオーディション」というキャッチフレーズで、プロ講師の目に止まったらドラマや映画に出演できる事を謳っています。他にもワークショップ型レッスンを小人数制でより濃密に行うようにしたりと、より実践的な体験を大事にしていると思います。

それぞれ各校の特徴や教育理念のもと、様々な工夫を凝らしたレッスンを取り入れ、一人でも多くのプロの俳優を排出する事を目標にしているように感じられます。各校とも一人でも多く著名な俳優が生まれれば、当然、学校の実績も評判も上がる訳ですので、勉強する生徒と同様に真剣に取り組んでいるという印象を受けます。

選択肢は非常に多くありますので、自分がやってみたい、または挑戦してみたい、取り組みたいと思う分野をジックリと選んでください。

目標達成のための学びとは?

究極には「最適、且つ最短の環境で学ぶ事」ですが、各校と同じく各人も個人差があります。一方には最適、且つ最短な道でも、もう一方には最短であっても急で険しくちっとも最適ではない道かもしれません。つまり、後者は急がば回れの言葉のように丁寧にコツコツと進む道が最適な人なのですね。悪く言えば不器用であり、良く言えば慎重で確実に物事をこなしたい人と言えます。

同じように、どんなに良く整えられたカリキュラムでも、自分に合っていなければ最短とは程遠いものになり兼ねません。つまり、自分がどの位置にいるのかを知る事が大切です。自分の実力とレベルを知る事が最優先事項と言えましょう。言いかえれば、自分に足りない物は何かを良く知る事です。

今、何が必要か?と考えた時、それは自分に足りない物を埋められるものが必要という事でしょう。そう考えた時、目的達成のための学びとは自分に足りないものを補足してくれる学びでなくてはなりませんね。

ですが、そう単純にはいかないのが人間です。だから答えは一つではありません。足りない物を埋めただけでは標準に行くだけで、それ以上には行かない、と思う人もいるかもしれませんし、必要なもの=足りない物とは限らないと考える人もいるでしょう。その通りだと思います。

個人の数だけ正解はあるのでしょう。結局は色々な人の答えや感想を参考にしながらも、最後は自分で決めなければなりません。自分で考え決めた事こそが目的達成のための学びだと思います。何故なら、目的は誰の目的でもない、あなたの目的だからです。

まとめ

人間とは不思議な生き物で、数人が走り出すと、何故かそれに続く人が後から後からついて行きます。行列もその一つです。

例えば信号。赤に変わりそうでも前の人達が走り出すと、中間の人も後ろの人もバラバラと後をついて渡ります。前の人達は無事渡り終えても、中間の人、後ろの人の何人かは赤に変わってしまいます。

それは立ち位置の違いと走る能力の違いです。前の人達は立っていた位置が良いので渡り終えますし、中間や後ろの人でも足が速ければ渡り終えます。両方が揃っていない人は赤に変わってしまうのです。

でも、それが進路だとしたら非常に困った事になってしまいますね。進路は決して皆について走って行ってはいけない道なのですから。